「住民の力」+「行政の理解とつなぎ」が「地域の底力」になる
NPO法人丹南市民自治研究センター企画の第二回「+ポケットセミナー」は、越前市今立地区でグリーンツーリズムや米粉パンなどをつくって地域活性化に活躍されている田中滋子さんを迎えて開かれ、約30名が参加しました。
田中さんは主に次のような話をされました。
行政職員が異動などで担当が代わると地域の事業が廃止になったり基本的な手法や住民との付き合い方などが簡単に変わってしまう。地域に本当に必要な事業や活動は行政が変わっても「地域の力」として続ける住民がいなければだめだと思って役場を退職し、仲間と一緒に米粉パン製造や農家民宿のグリーンツーリズムの活動を始めた。
計画書で立派な方針を示しても「誰がやるの」「誰かいないか」では何も進まない。やる人や体制を描いてつくっこそ始まる。
民間の発想は柔らかくて多様だ。宣伝する金がなかったが大阪のマスコミ40社にパンフレットを送り記事掲載を依頼した。切手代など3200円で、「田んぼのオーナ」として大金を払ってきてくれた人が直ぐに8組できた。金出してまで誰も百姓仕事に来ないだろうとの予測は完全に違っていた。旅行者での体験ツアーも客に迎合する特別なプランでなく、田舎の普通の暮らしと百姓体験が好評。地域住民が自分たちで考える提案がプランになり客が合わせてくれるスタイルになった。
役所は補助金だすと直ぐに数値や成果を示せという、そして出来あがらない内に補助金を削ったり人件費をなくしてしまう事が多いが、事業は行政のためにするのではない。行政の職員は地域や事業を見ながら、人や情報をつないでほしい。事業費だけでなく事務局を担う人の人件費なども考えてほしい。
私たちは、来訪する人の数よりも、地域に住む人たちが喜び、誇りを感じてもらえることが大事だと思っている。「越前市もやいの郷、農楽園」では、学生さんと地域の人たちが一緒に体験する田舎の暮らしやモノづくりが好評で市外学校の授業にも利用されている。公共施設は多くの人に利用されてこそ価値があると思う。